はじめに
2008年9月、リーマン・ブラザーズが63兆円の負債を抱え、150年以上にのぼる歴史を閉じることになりました。メリルリンチも独自再生を断念しバンク・オブ・アメリカとの合併を発表、さらにAIGも独自再生が不可能となったことから、アメリカ政府の支援を受けることになりました。さらにその翌週には、米連邦準備制度理事会(FRB)がモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックス・グループを従来型の銀行持ち株会社に転換させることで合意したとの報が入ってきました。それが事実であれば、ウォール街で最も権威あるアメリカ型の投資銀行であった企業が、国の銀行監督当局の厳重な管理下に置かれることになります。世界の金融、実態経済のみならず、さらには労働市場にどのような影響が起きるのか、見極めていく必要が出てきました。このようなインパクトの連続は、今後どのようにMBA採用に影響を与えてくるのでしょうか?
日本ではバブル崩壊とともに50年に一度のパラダイムチェンジが起き、日本長期信用銀行が50年の歴史を閉じました。2002年にはアメリカで100年の歴史を持つ監査法人アーサー・アンダーセンが、そして2008年には150年の歴史を持つ投資銀行リーマン・ブラザーズが姿を消そうとしています。いま、米国型投資銀行の形態そのものが消滅しようとしています。
2005年から2007年末まで、すべての産業で好調であったMBA新卒求人市場に大きな変化が生じてきました。サブプライム問題の拡大は、すでに次の新たな局面を招きつつあります。求人市場では、否応なしに不確実性が高まってきています。2008年卒業のMBAホルダーの就職戦線では、金融からのオファー取り消し、あるいは金融業界への長期的な不安から生じるオファー辞退などが相次ぎました。それらがあいまって、卒業後も就職活動を継続するMBAの方も見受けられます。9月に入っても活動を継続している人がおられます。
業界別にみると、コンサルタント業界は上向き、事業会社は業種ごとに状況が異なっています。広く目を転じれば、外資系・日系・大手・ベンチャー・再生など様々な領域でMBA採用が活発になっているものの、各企業もその採用戦略を大幅に変更しつつあります。そのような変化の時期である2009年・2010年生の方々は、単に"MBA卒業時の就職"と捉えて行動するのではなく、新たなキャリアの出発にふさわしいものが何か、しっかり市場の現実的な変化や需要、求められているMBA人材像等を知り、行動することが重要になるでしょう。留学の目的は会社を移る『転職』ではなく、「キャリアデベロップメントとよばれる展望を備えたキャリアの開発」です。それこそが、私たちアクシアムが提唱する『展職』であり、私たちが皆さんにご支援できることです。
MBA 2009~2010に向けた市場動向
① 2007年のサブプライム問題は金融業界のMBA求人に転換を引き起こし、
日本では一年遅れの2008年4月から求人激減。
② プライベートエクイティの隆盛。M&Aの増加がもたらすキャリア機会の増大。
MBAが経営者、経営陣となる時代が到来しているのか?
③ MBA採用に意欲的なグローバル企業、ポータルサービス業界の大手各社の動向、戦略に注目。
④ 事業継承など、株主であるオーナーが「経営者」を探すケースが出てきた。
⑤ 「サービス産業からの求人」 : 「材に関わる産業からの求人」の対比は、「9:1」。
⑥ MBA採用側とMBAホルダー、双方における価値観の多様化。
⑦ 日本MBA 、欧州MBA 、米国MBA比較考 と MBAブーム。
⑧ 日系大手企業の海外展開、外資系大手企業のアジア市場をにらんだ求人の増加と、
リーダーシップ型求人比較。
私費留学生の方の傾向:
企業派遣生に比べ、ジョブマーケット情報の蓄積があり、加えてキャリアプランが明解なので、より多くのチャンスに恵まれます。ただし自己資金で留学しているので報酬面を重視せざるを得ないため、ベンチャーへの就職は報酬の面で難しい傾向がありました。一時のバブルな報酬提示が見られたネットベンチャーが陰を潜め、現在は堅実な報酬提示を行うベンチャーが増えています。また、ベンチャーでは、ストックオプションやワラントが期待できます。
●注意:留学前からの願望だけで業界を選ぶ事や、具体性のないキャリアデザインは厳禁です。
企業派遣生の方の傾向:
現在の会社内でのキャリアデザインと、他社でのキャリアの可能性について決断と決心ができないケースが目立ちます。気が付けば35歳を過ぎ、コンピテンスと報酬のバランスがとれず、市場価値を失うことも少なくありません。一旦会社に復帰した後、配属を見極めて転職するなら、遅くとも2年以内に実践すべきです。ビジネススクールで得た知識、スキルを企業戻って活用できないなら、真剣に転職を考えても良いでしょう。
私費留学生/企業派遣生へのアドバイス
MBA 求職活動のコツ
■1年生・インターンシップ探し
希望就職先の連絡簿(ターゲット企業の連絡先など)を作成。できれば希望就職先に電話で打診。場合により出向き、入社の可能性を探る。
入学後、すぐに就職課、キャリアディベロップメントオフィスの活動内容を把握し、かつ指導を仰ぎ、「履歴書」「職務経歴書」「英文レジュメ」の作成および登録をしておく。
サマーインターン受け入れ企業、MBA採用の情報収集を行い、自分でも直接さがす。
大変倍率が高い状況。学校により時期が異なるが、この時期は各学校に募集活動に来る企業をあたるのが効果的。
報酬レンジは企業により、さまざま。無償のケースもあり。
インターンシップの価値・・・インタビュー準備、実体験による見識の獲得・拡大 ⇒マーケットの現実を知る絶好の機会
※アクシアムのサイトにも企業のインターン受け入れ情報があります。過去にMBAを受け入れたことがある
企業リストをご参照ください。
http://www.axiom.co.jp/mba/internship/index.html
■夏休み、冬休み、春休み、のインターンシップ期間中
インターンシップ期間中に、インターン先の同業他社への面談を行う場合、両社への充分な誠意を忘れずに。
面談先に応じてレジュメを更新しておくこと。先輩MBA訪問も有効。最近は日本のベンチャー企業でもインターン制度を導入する企業がある。
■卒業まで
リクルーティングは2年間続くので、できる限りの情報収集と面談を。
「卒業までに就職先を見つけなければならない」という束縛から離れる。MBAという資産を、どう投資するか?
生涯で一度のチャンスです。
情報収集から、応募、面談、交渉、内定、入社決定、入社までのプロセスを愉しむくらいの余裕を!
① 定期採用グループ: Active/Regular recruiting
毎年継続的にインターンシップを実施し、複数名のMBAを採用している。MBAの特性を良く理解しており、採用基準も厳しい。キャラバンを組んで特定の学校を訪問し独自企業説明会を実施したり、積極的にキャリアフォーラムなどに参加している。先輩からの情報が豊富で採用プロセスも開示されている。従って、人材紹介経由の採用は行っていないケースが多い。
アプローチとしては、採用活動の情報・状況をしっかりと把握して、より積極的かつ主体的に直接応募する必要がある。
オファーの時期は10月から12月で、回答期限は12月から2月程度と年々早まる傾向にある。外資系メジャー戦略コンサル/外資系メジャー投資銀行/製薬や消費財メーカーなど外資系事業会社 など
② 採用に積極的だが定期採用はしていないグループ: Passive/Regular recruiting
③ 空席ポジションあるいは戦略的ポジション採用グループ: Occasional recruiting
<<採用形態 3グループ>>
定期採用はしていないので、キャンパス訪問やキャリアフォーラムには参加はしていない。
MBA採用のニーズは強く、卒業の半年前から3か月前程度であれば、空席状況次第で可能性を検討してくれる場合がある。直接応募するより、人材紹介会社等を経由して適宜、採用ニーズを理解したうえでアプローチするほうが長期的に関係を維持することもでき、効果的。
本社ではMBA採用に意欲的だが日本支社は消極的である外資系企業や、わざわざ本社から離れた国までキャンパス訪問していない企業(欧州まで行かない米系企業、逆に米州まで行かない欧州企業)なども、このグループに含まれます。事業会社の一部/戦略コンサルの一部/金融機関の一部(大手PE含む) など
空席が出た場合や事業戦略によって、MBA向けの求人が不定期に発生する場合がある。
①、②のグループに属する企業でも、卒業の3ヵ月前程度に発生した不定期な求人案件ならキャリア採用枠で入社するケースもある。
既卒・新卒にかかわらずMBAホルダ-を採用しうるポジションであり、年間通じて①②に比べて数は圧倒的に多い。
※このグループへのアプローチをアクシアムは得意としています
外資系事業会社/日系大手事業会社/PE、VC/ファンド投資先企業/IPO前後のベンチャー企業/商社 など
MBAの変遷
‘75~’79年代
留学するだけでも希少価値の時代、MBAともなれば先駆者であり、TOPや経営陣になっている。
‘80~’84年代
MBA留学が着目され始め、キャリアチェンジも可能となった。やや先駆的。Director、Senior Vice President、執行役員、経営陣になってきている。
‘85~’89年代
企業派遣を中心に応募者が急増した時代。金融、コンサルタント業界を中心とした外資系MBA採用企業の規模拡大時期で、需要が拡大。POST MBAは問題なくキャリアアップ。日本企業の中途採用開始もこの頃で、日本の製造業から日本の金融機関への転身が見られた時。現在は、キャリアアップに成功した人が多い。金融、コンサルタント業界で生き延びているのは、大体この世代。MD、パートナーといった階層にいるが、さらにそこからVCへ移動するような機敏な人と、40歳を超えて外部にでることができないMBAも多数いる。
‘90~’94年代
不況が始まり、留学生全体は企業派遣者を中心に減るが、上位校は変わらず。日本企業の中途採用数低下。留学後の成功・失敗例が両極化、私費留学が増加、MBA保有者の価値観が多様化。現在はまだManager、Staffレベルが多いが、起業するMBAはこの年代層から出始めた。
‘95~’99年代
上位校での日本人MBA総数が若干減る。学位のみならず実務上のコンピテンス、能力、経験が問われる時代。過去のMBA先駆者達とは、異なるキャリアプランが必要。ビジネススクールで90年から活発にいわれているように、起業家精神、リーダーシップが日本でもいよいよ必要な時期となってきた。日本ではベンチャー企業の需要が拡大。
‘00~’04年代
2002年からMBA需要は過去最低、ボトムの時代。
‘
05~’09
2005年一機に反転。価値観の時代、資本の移動の時代の到来。ビジネスリーダー・マネジメント人材に対する需要の増大。